下町の工場跡地が屋内用ドローンのデモルームに生まれ変わる!
アイディエーションな環境でお客様と共創
開発拠点をリニューアルしました!
Spiralでは業容拡大に伴い、革製品の工場跡地を開発拠点(東京都葛飾区)として大胆にリニューアルしました!ドローンのデモンストレーションの空間を十分に取りながら、使用していなかった中二階部分を芝生スペースとして増床。“人間生活が豊かになる未来”をテーマにした壁画とともに社員や来訪されたお客様がリラックスしてコミュニケーションをとれる環境作りを目指しました。今回の改装について、プロジェクトメンバーにリニューアルのポイントや、働きやすい環境づくりへの思いについて伺いました。
<インタビュー>
石川 知寛
株式会社Spiral 代表取締役CEO
蔵田 将也
建築設計事務所 no_chi.deign 代表
https://no-chi-design.themedia.jp/
カトウ アヤコ(壁画デザイン)
https://www.instagram.com/akdesign.tokyo/
屋内で「ドローンを飛ばす」ことができる
最適物件が工場跡地だった
リニューアルのきっかけを教えてください
石川:僕たちの事業はドローンを扱っているので、高さのある空間での飛行テストが必須です。ここの拠点ができる前は、劇団が稽古する場所を借りたり、知り合いの会社を間借りしたりして実験をしていたのですが、受注が増えるにつれてそれでは間に合わなくなり自社の開発拠点を早急に作る必要が出てきました。具体的には昨年(2019年)8月にお客様からご発注をいただき、開発場所を真剣に探し始めたのがきっかけです。
工場跡地であるこの物件との出会いは?
石川:弊社役員の知り合いの紹介でした。元々はカバン工場だったようで、築60年程の物件でした。他の物件は見ずに直感で決めました!というのも、天井高のある物件がなかなか東京にはなく、ここは元工場ということもあり飛行テストをするのに十分な高さを確保できたのが決め手です。
友人たちと工場リノベーションで“夢”を実現
今回の改装プロジェクトのチームについて教えてください
石川:建築デザインを担当した蔵田は、高校の同級生です。ちょうどこの物件の改装資金が集まったときにFacebookで彼がリフォームの仕事をし、さらに独立までしたことを知り、ぜひ協力してもらいたいと思い声をかけました。
蔵田さん:石川とは高校のバスケ部で一緒でした。当時から真っ直ぐな人柄で、率直に一緒に仕事できるのが楽しそうだなと思いました。もともと倉庫のリノベーションに興味があり、しかもドローンの施設になるということで自分にとっては未知の領域。ぜひ協力させていただきたいと思いました。
石川:壁画を担当したカトウさんは、僕の飲み友達です(笑)。2年前に近所のバーでお会いしてカトウさんが絵を描いていることを知りました。後日、作品を見に行ったら感銘を受けてしまい、その日のうちにいつか自分の会社に壁画を描いてほしいとお願いしました。
カトウさん:普段はグラフィックデザイナーとしてロゴやパッケージデザインをしていますが、もともとはHONDAで四輪のクレイモデラーを10年近くやっていました。壁画制作は飲食店からの依頼が多いですね。今年3月頃に石川さんから「大きなキャンバスができたよ!」と連絡をいただきました(笑)。
石川:唯一の懸念が「キャンバスが長い」という点でしたが、カトウさんならやってくれるだろうと思っていました。
エンジニアの働きやすさを考えた
「ガレージオフィス」
コンセプトやこだわった点について教えてください
石川:実はこの拠点は元々半年間だけ借りる予定で、リノベーションする予定はありませんでした。でも、エンジニア達がここのガレージのような作業スペースをとても気に入っていて。この場所で開発をしたいとの意見が圧倒的に多く、腰を据えて仕事をしやすいスペースにするためにリニューアルすることを決めました。そこで、改装コンセプトとしては「ガレージ感」を大事にしました。
蔵田さん:いわゆるベンチャー企業っぽさ、ですよね。他にも、透明性を確保してオープンな空間になるようこだわりました。たとえばオフィススペース。オフィスにいてもドローンのデモを見られるように、実験スペースとの仕切りをガラスにしています。ただ、従業員数が増えることを想定してオフィススペースを広めに確保しなければならず、一方でドローンの実験スペースも確保しなければならなかったのでその調整が難しかったですね。
石川:そこで浮かんだのが、オフィス部分の上にある空間を活かしたロフトの活用です。人工芝生を敷いてくつろげるスペースにしました。ここで昼食をとったり、昼寝をしたり、テレカンをしたりする社員もいて、好評です。
蔵田さん:あと、工場跡地ではありますが、従業員の皆さんが一日中過ごす場所なので、居住空間であることも意識しました。特に「暑さ寒さ対策」。石川からも、夏の暑さをどうにかして欲しいと要望がありました。この天井高だと温かい空気が上にいってしまうので、冷暖房を入れるスペースを小さくすることで、温まりやすく冷えやすい環境を作りました。具体的には、倉庫の中に小屋を作るイメージで、オフィススペースを設計しました。
一番の苦労はコロナ禍と猛暑日での工事
キックオフから施工着手までの様子を教えてください
石川:19年12月にリニューアルの為の資金調達が完了して、20年3月にリニューアルの構想を固めました。工事は5月に着工し7月頭には入居していました。ちょうどコロナ禍と重なってしまったので色々と大変でした……。
コロナ禍の影響や苦労はどのようなものだったのですか?
蔵田さん:通常であれば6名前後の職人さんで作業するのですが、コロナ禍で密を避けるために、今回は1~2名しか建物内に入れなかったんです。でも、石川から開発を急ピッチで進めているからこれ以上は待てない、と言われていたので施工中は大変でしたね。作業に当たってくれた職人さんには感謝しています。
石川:職人さんが作業をしている横でドローンを操作している、なんて日もありました。あと、屋内ドローンの実験場なので風が入らないよう閉鎖空間にせざるをえなかったのですが、コロナ対策で密を解消するために「空気清浄機付きエアコン」を急遽購入して換気ができるようにしました。
蔵田さん:新型コロナの影響で部材やパーツの納期が遅れて、いろいろなところに電話をかけましたし、暑い中での工事も大変でしたし、本当に過酷でした!
印象的な出来事やハプニングはありましたか?
石川:施工がちょうど6月くらいだったのですが、昨年はとにかく暑かった…。しかし、猛暑でも実験が必要ですので、全身に冷えピタを貼って挑みました(笑)。昨年は2,3人のエンジニアで早朝の涼しい時間に開発をして、日中は近くのカフェで作業し、また夕方に戻って開発をするなど試行錯誤していました。今年は10名強の体制になり、屋内ドローンのニーズも増えてきているので開発スピードをあげるには、やはり夏までに環境を整える必要がありました。
加藤さん:壁画を描いているときも暑かった。それ以上に蚊に沢山刺されたことが印象的でした(笑)。蚊取り線香を沢山炊きながら作業しました。
構想15年、人間とロボットの協働社会を壁に描いてみた!
壁画制作のきっかけやコンセプトについて教えてください
石川:実は、この壁画の構想は15年前からあったんです。これなんですが…
カトウさん:絵と言うより資料ですね(笑)
蔵田さん:僕も最初に石川からこの資料を見せられて、こういう絵を壁に描いてもらう予定だと聞いて、どうなるんだろうと全く想像ができませんでした(笑)。
石川:この絵のコンセプトは、地上のロボット、空間のドローン、そして宇宙がつながることで人類を最適化するというもの。ちなみに、Spiralのロゴを作ったデザイナーがイラストにしてくれたのがこちらです。
カトウさん:だいぶ近づいてきましたね(笑)。これを元に、現在のドローンの使われ方や、将来的にどのような使われ方になるかをヒアリングして、構想を固めていきました。特に未来の人間生活の日常とドローンをどのように絡めていくかを、石川さんと何度もお話をしました。
石川:弊社はインドやパキスタン、フランスなど世界中からエンジニアが来ていて、グローバル感も出したかったので、カトウさんに国が特定しないような絵にしてほしいとオーダーもしましたね。
カトウさん:そうですね。絵を見てもらうと、世界の有名な建築物をモチーフにした建物が色々な場所に散らばっています。あと、石川さんが地球と宇宙の垣根がないイメージを持たれていたので、空も地上も地下も自由にアクセスできるような世界観で描いています。
石川:地上では人とロボットの協働が実現できてきていますが、空間と宇宙を使うロボットがまだ世の中にないので、自分はこういうことをやりたいと説明できるものが欲しかったんです。皆さん弊社のことをドローンの会社だと思われるのですが、実はそうではないんです。来年にはこの倉庫でロボットが自動走行しますし。なので、この壁画を見てもらうと僕の考えていること、Spiralのビジョンをそのまま伝えられるんです。実際、来社されるお客様の反応がとても良く、共感をいただいています。
カトウさん:ドローンはあくまでテクノロジーのある豊かな生活をするための手段のひとつだ、っていう。遠い様で近い未来を、この壁画を見ることで想像してもらえたらと思っています。
施設概要
施設名 | 堀切貸工場 |
住所 | 東京都葛飾区堀切2-49-2 |
面積 | 170㎡ |
機能 | ・研究開発拠点 ・デモ機の体験、技術交流 ・実証実験、共同開発の実施 ・現場導入のための技術トレーニングの実施 |